軟部外科診療

軟部外科診療

治療例1

症状

  • 何度もトイレに行くがおしっこがでない

動物

  • 猫、2歳、去勢雄

検査

超音波検査を行ったところ膀胱に過剰な尿が貯留しており、血液検査では腎臓の項目が高値でした。また、膀胱内には砂様の構造物が確認されました。

診断

  • 尿道閉塞

治療

  • 尿道の詰まっている部位までカテーテルを挿入し、詰まっていた物(砂)を除去しましたが、数日後に尿道閉塞を再発し、自力での排尿が困難となりました。

    そこでおしっこの出口を変更する手術(会陰尿道瘻)を行いました。
    今回行った会陰尿道瘻は包皮を利用する方法で実施しています。従来は尿道を皮膚に直接縫合する術式でしたが、包皮と尿道を縫合する今回の術式は比較的合併症(再閉塞、裂開)が起きにくいです。
    術後の経過は良好で、現在半年以上経過していますが再発や合併症は認められていません。

    術後の陰部の状態。包皮が残っているので、外見は手術前とあまり変わりません。
  • 会陰尿道瘻術後

    会陰尿道瘻術後

治療例2

症状

  • 胆嚢異常

動物

  • 犬(mix)、12歳、避妊メス

検査

定期検査(ペットドック)の超音波検査で胆嚢に異常が認められました。

診断

  • 胆嚢粘液嚢腫

治療

  • 胆嚢粘液嚢腫は進行すると胆嚢が破裂してしまう可能性があります。
    破裂した場合は、腹膜炎を起こし危険な状態となりえます。
    本症例はその危険性を回避するために胆嚢摘出術を実施しました。
    術後の経過は良好です。
  • 摘出した胆嚢

    摘出した胆嚢

治療例3

症状

  • 眼の下が急に腫れてきた
  • 歯根膿瘍来院時

    歯根膿瘍来院時

動物

  • 犬(ミニチュアダックスフント)、13歳、未避妊雌

検査

腫れている部分から膿を採取し顕微鏡で確認したところ細菌が確認されました。
また口の中を確認したところ左右ともに第4前臼歯が破折していることが判明しました。

診断

  • 第4前臼歯の破折、それに伴う歯根膿瘍

治療

歯が折れた部分から細菌が入り込み、その歯根部に膿が溜まったと考えられました。反対側の眼の下の部分も同様のことが起こり時間が経過した結果穴が空いている状態でした。
全身麻酔下で歯石の除去を行い、折れている第4前臼歯の抜歯を行いました。術後は症状が改善し、再発も認められていません。
また左眼の下に開いていた穴も塞がりました。

  • 歯根膿瘍症例2

    歯根膿瘍症例

  • 歯根膿瘍症例3

    歯根膿瘍症例

治療例4

症状

  • 3、4ヶ月前から排便時に白い液体や血が混ざる。肛門周りを気にする

動物

  • 犬、5歳、去勢雄

検査

肛門腺から排出された液体を顕微鏡で確認すると、炎症細胞である好中球と細菌が検出されました。

診断

  • 肛門嚢炎

治療

  • 抗生剤の内服にて治療を行いました。症状に部分的な改善は認められるものの、抗生剤の休薬により再発を繰り返した為、肛門嚢摘出を実施しました。術後の経過は良好です(写真は術後1週間のものです)。
    肛門腺は左右に1つずつあり、炎症を起こしてしまうと出血や痛みを起こしてしまいます。抗生剤により改善することがありますが、中には難治性を示す症例がいます。その場合は外科的治療(肛門嚢摘出)が適応となります。
    本症例は片側のみ炎症を起こしていましたが、肛門腺しぼりを非常に嫌う為、反対側も同時に摘出しました。両側摘出を行った後は、肛門腺しぼりを行う必要はありません。
  • 肛門嚢炎

    肛門嚢炎

エコーの様子
トリミングの様子
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獣医師
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