電気化学療法(Electrochemotherapy:ECT)は、
抗がん剤と電気刺激を組み合わせて行う局所治療です。
電気化学療法(Electrochemotherapy:ECT)は、
抗がん剤と電気刺激を組み合わせて行う局所治療です。
愛犬・愛猫が腫瘍やがんと診断されたとき、多くの飼い主さまが強い不安や戸惑いを感じられると思います。
「手術は難しいと言われた」「体への負担をできるだけ抑えたい」「ほかに選択肢はないのだろうか」
そのような思いから、さまざまな治療法について調べて来院される方も少なくありません。
電気化学療法(ECT)は、そうした状況の中で条件が合えば検討されることのある治療法の一つです。
電気化学療法(Electrochemotherapy:ECT)は、抗がん剤と電気刺激を組み合わせて行う局所治療です。
抗がん剤を投与した後、腫瘍にピンポイントで短時間の電気刺激を加えることで、腫瘍細胞の膜に一時的な小さな「すき間」ができ、薬が細胞の中に入りやすくなると考えられています。この治療法は、もともと人のがん治療として研究が始まり、現在では獣医療分野でも一定の医学的根拠に基づいて実施されています
ただし、電気化学療法は万能な治療ではなく、効果や適応は腫瘍の種類・大きさ・部位・全身状態によって大きく異なります。
電気化学療法は、主に体表や皮下に存在する腫瘍に対して検討されることがあります。
手術が難しい部位にある場合や、高齢・持病などの理由で長時間の手術を避けたいケースで選択肢となることがあります。
一方で、
• 深部にある腫瘍
• 骨に浸潤している腫瘍
• 遠隔転移している病巣
などには、電気化学療法単独での治療は適していません。適応の可否は、診察・検査結果をもとに判断します。
電気化学療法は、以下のような流れで行われます。
原則として前日の夜から絶食を行い、午前中に来院していただきます。
全身麻酔で抗がん剤を投与後、腫瘍に電気刺激を加えます
処置は比較的短時間で終了するため、原則として日帰りで行います。治療後は、数週間から数か月かけて腫瘍の変化を確認していきます。
・局所治療であり、症例によっては体への負担を抑えられる可能性があります
・出血、痛み、においなどによって生活の質が低下している場合、症状緩和を目的として検討されることがあります
・適応できる症例は限られます
・皮膚の赤み、腫れ、かさぶた、色の変化(色素沈着・脱色)などが起こることがあります
・一部の症例では、皮膚の治癒に時間を要する場合があります
・全身麻酔や抗がん剤投与に伴うリスクがあります
治療のメリットだけでなく、デメリットも十分に理解したうえで検討することが重要です。
Q どのくらい効果がありますか?
A. 腫瘍の種類や部位、全身状態によって結果は異なります。治療効果には個体差があります。
Q. 痛みはありますか?
A. 治療中は麻酔を使用するため、痛みは抑えられます。治療後の反応には個体差があり、必要に応じて痛み止めを使用します。
Q. 無麻酔で行えますか?
A. 理論上は可能ですが、当院では安全性と苦痛軽減の観点から無麻酔での実施は行っていません。
当院では、電気化学療法を外科手術や放射線治療の代替として一律に行うものではないと考えています。
ほかの治療法も含めて総合的に検討し、その子にとって現実的で有効な選択かどうかを重視しています。
治療の目的や期待できる点、リスクについて十分にご理解いただいた上で、実施するかどうかを相談させていただきます。
電気化学療法は、腫瘍治療における選択肢の一つです。
すべての症例に適しているわけではありませんが、条件が合えば良い治療選択肢となり得ます。
ご不安な点や気になることがあれば、どうぞお気軽にご相談ください。
診察を通じて、愛犬・愛猫にとって最適な治療について一緒に考えていきましょう。
